第17回 中国残留孤児、3世はルーツへの困惑

日本と中国の国交が結ばれたのが1972年。いわゆる日中国交正常化から今年の9月で50年を迎え、国交正常化によって日本への帰国の扉が開いた「中国残留孤児」についての特集が報道されている。
中国残留孤児については、国による調査や帰国援助、また帰国後の生活支援が長年すすめられてきたが、改めて、中国残留孤児とその家族の歴史を振り返ると、日本と中国との狭間で生きてきた人たちが抱えてきたアイデンティティーの問題が浮かびあがる。そこには、アメリカや南米などの日系人の抱えた問題との類似性がみられる。
太平洋戦争が終ったとき、当時の満州(現在の中国東北部)には開拓団などとして多くの日本人が暮らしていたが、ソ連の対日参戦によって、さまざ…