第25回(最終回) 差別、偏見、戦いからどこへ

「ノーノー・ボーイ」をめぐる連載も今回で最終回を迎える。この間、並行して進めていたこの本の新たな翻訳を、“パール・ハーバー”からちょうど75年目となるころ出版することができた。と、同時にアメリカでドナルド・トランプという移民に対して排他的な政策をとる大統領が登場した。
テロリストを排除するために、警戒を強めることには大方異論はないだろう。しかし、今回の政策を支える考えのなかに、特定の人種や民族、宗教に対する偏見が潜んでいるとみられても仕方がない。
日本人による日系人への偏見
アメリカは多様な人種や民族、宗教、文化によって成り立っている。もちろん、歴史を振り返れば、ネイティブ・インディアンや黒…