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日系コミュニティとジョージ・タケイ氏
前回のコラムで クリスティ・ヤマグチがセレブリティ社交ダンス番組「Dancing with the Stars」で大健闘していることをお伝えしたが、5月27日の最終回で見事優勝。「男性に比べ目立つことが難しい」(審査員キャリーアン・イナバ談)と 言われるダンスにおいて、第1シーズン以来、実に6年ぶりの女性優勝となった。
クリスティやキャリーアンのように、こちらのテレビでも日系人セレブの姿をしばしば見かける(中国・韓国系はもっと多い)。その筆頭格には全米日系 人博物館の前理事長でもある、日系2世のアクター、ジョージ・タケイ氏が上がるだろう。「スタートレック」のスルー(日本ではカトー)役で全米に知られる ようになったのが、1960年代の後半。他にも「ハワイアン・アイ」「トワイライトゾーン」「スパイ大作戦」など日本でも放送されたテレビドラマに数多く ゲスト出演。最近では「ウィル&グレイス」や「HEROES」に特別ゲスト/準レギュラーで登場、アメリカだけでなく、日本にも再びその存在感を知らしめ ている。
余談になるが、5月にカリフォルニア州最高裁で同性婚が容認、タケイ氏も長年のパートナー、ブレット・アルトマン氏との婚約を発表した。人気女性 トークショーホストのエレン・デジェネレスも同時にパートナーの女性と婚約したのだが、タケイ氏とエレンは、この同性婚の“アイコン”的存在として全米で 注目を浴びている。
話が前後するが、そのタケイ氏が4月にバラエティ番組「Secret Talents of the Stars」(CBS)に主役級の扱いで出演した。タケイ氏はカントリー歌手に一日入門、芝居のように易々とはいかなかったが、ステージで習ったばかりの カントリーソングを披露していた。この番組で驚いたのは、タケイ氏がカントリーとの出合いとして、日系人強制収容所時代のタケイ一家の写真を見せたこと だ。
「私とカントリーミュージックとの出合いは、強制収容所の鉄条網の中でした。あるとき、両親がラジオを持ってきたのです、そこで流れていたのがカントリーミュージックでした」
保存用にきれいにコピーされた収容所の写真を公開するタケイ氏。アメリカのバラエティ番組で収容所のバラック小屋の写真を見たのは初めてのこと。 ニュースやドキュメンタリーなら別だが、まさかバラエティ番組で見るなんて、今のアメリカでは考えもしないことである。タケイ氏のスターパワーがなせる技 なのだろう。 …