第3回 カナダ日系社会と「大本営発表」

第一次世界大戦の後、日本は国際連盟に加盟し、日英同盟は破棄された。日英同盟の延長に関しては、英国自治領カナダの執拗な反対があった。カナダは英国から距離を置き自治権を強化し、安全保障のために米国との友好関係をより重視するようになったのである。
すでに、日本の経済力と軍事力の増大や露骨な拡張主義は、西洋列強の脅威となっていた。彼らの警戒心が人種差別意識によって増幅され、その矛先が北米の日系社会に向かったのは当然の帰結だったかもしれない。
1920年代、BC州政府は日系人の漁労許可証の4割停止を断行した。ヘネー農会の井上次郎は見兼ねて、「落伍者をだしては日本人の恥だ」と失業者を迎え入れた。だが、この善意はい…