ニッケイ物語 2—ニッケイ+: 混ざり合う言語、伝統、世代、人種の物語

「ニッケイ」であるということは、本質的に、伝統や文化が混合している状態にあると言えます。世界中の多くの日系コミュニティや家族にとって、箸とフォーク両方を使い、日本語とスペイン語をミックスし、西洋のスタイルで大晦日を過ごすかたわら伝統的な日本のお正月をお雑煮を食べて過ごすということは珍しいことではありません。  

このシリーズでは、多人種、多国籍、多言語といったトピックや世代間にわたるエッセイなどの作品を紹介します。

今回のシリーズでは、ニマ会読者によって、各言語別に全ての投稿作品からお気に入り作品を選んでもらいました。

ニマ会のお気に入りに選ばれた作品は、こちらです。

当プロジェクトについて、詳しくはこちらをご覧ください >>


その他のニッケイ物語シリーズ >>

food en ja es pt

ご飯と福 −新年と新しい伝統を迎えて−

あけましておめでとう、
新年快乐、
ハッピーニューイヤー&オールド・ラング・サイン

日系、中国系、アイルランド系の私たち一家は、このように挨拶を交わし、新年を迎えます。私は、ロッキーマウンテン出身の日系アメリカ人三世で、夫の先祖はオレゴン・トレイル(オレゴン街道とも呼ばれ、19世紀西部開拓時代にアメリカ合衆国の開拓者達が通った主要道の一つ)を横断し、太平洋岸北西部に辿り着いたアイルランド系アメリカ人で、夫自身はロサンゼルスのサンフェルナンドバレーで育ちました。私たちの2人の娘たちは、中国系アメリカ人一世で、国際養子縁組を介し家族となり、2人は私たちの腕に抱かれて中国から南カリフォルニアに渡りました。年月をかけ、私たち一家は…

続きを読む

identity en ja es pt

怒れるハパ少女の柔道ダイアリー

私は、初めから柔道家になることを目指していたわけではありませんでした。私の計画は、学校の勉強に集中し、良い成績をとることでした。転機は、弟が5歳になった時、父が弟に柔道を勧めたことでした。私は弟に嫉妬し、自分も一緒に柔道を始めてもいいか、父に聞きました。父は、始めてもいいが黒帯をとるまで辞めないことが条件だ、と言いました。父が柔道の先生だったことは、この辺で触れておくべきでしょう。父は、一家から脱落者が出ることを許しませんでした。私は二つ返事でこの条件を飲み、柔道を始めました。私は7歳でした。

私は、柔道を始めた女子として、自分の領域を探り、居場所を見つけたいと思いました。ある日の練習で、先生は剣道の竹刀を持参し、私た…

続きを読む

identity en ja es pt

塀一つ隔てた2つの家庭

まったく!言い過ぎだわ。ビラだって警戒していないのに、とKさんは思った。でも「見ておきます」としぶしぶ言った。

大根のにおいをガス漏れと間違えられて、悲しかったし、恥ずかしかった。エラはよく塀の向こうの台所から言った。

「なんて変な臭いなんだ!」

Kさんが大量の大根の漬物を作る水曜日は、いつもそうだった。

庭の奥から家の前の門まで続く塀は、2軒の家を仕切っていた。塀の両側には狭い通路があるだけだった。そして、困ったことに、2軒の台所は塀を狭んで向き合っていたのだ。しかし、ビラにとっては、どちらの台所も1つ屋根の下にあるのと同じだった。昼が近づくと、大根だけでなく、にんにくと玉ねぎを炒める香ばしいにおいがただよって…

続きを読む

community en ja es pt

コウキチさん

小さい頃から本を読むのが大好きだった私は、物語に出てくる登場人物に興味を持ちました。たくましい「桃太郎」、「不思議の国のアリス」に登場する風変わりな「白ウサギ」など、全部、魅力的なキャラクターでした。

中・高校生になると、「嵐が丘」のヒースクリフの複雑な性格に驚かされました。大学で専攻したブラジル文学とポルトガル文学の中にも面白い主人公にたくさん出会いました。

しかし、「コウキチさん」は今までで、一番印象的な人物です。他の登場人物は作者の想像で書かれたものだと思いますが、「コウキチさん」はフィクションではなく、実在の人物です。

時は1930年代、場所はサンパウロ州アルヴァレス・マシャドという小さな町。母は10人…

続きを読む

identity en ja es pt

日系フィリピン人の思い出写真

「あなたのお母さんってフィリピン人?」友人のお母さんが尋ねます。彼女もまたフィリピン人です。そのお母さんは首を横に振って優しく微笑み、こう言います。「あなたは日本人っぽく見えるわね」

* * * * *

私は姓も名も日本人名で、フィリピン名は入っていません。でも一方で、大西洋岸の北西部では「素敵な日焼け」とされるような肌の色をしています。私はチュロンやルンピア、アドボの作り方を知っていますし、照り焼きチキンを家の秘伝のレシピで一から作ることができます。また、ゴルディロックスのランチカウンターや照り焼きランチメニューを見て注文もできると思います。仏教やカトリックの礼拝に行ったりもしましたが、どちらにも属さずにいます…

続きを読む

タグ

Brazil Chinese New Year Chronicles colonia community culture family female fiction filipina filipino food hapa holiday identity judo martial arts Mixed new year's nikkei Nikkei Chronicles Nikkei+ nikkei-plus oshogatsu prewar