第29回(最終回) 連載を終えて

およそ1年間にわたり日米をまたにかけて活動した加藤新一という人物の生涯と業績を追ってきました。1900年に広島市で生まれ、1982年に故郷で亡くなった加藤は、戦争を間に挟みまさに20世紀を力いっぱい生き抜いた行動する人物でした。
繰り返しになりますが、私が加藤に興味を持ったのは、彼が執筆・編集した「米國日系人百年史」を知ったからでした。1961年に出版されたこの本には、アメリカ本土のほぼ全域にわたる日本人・日系人の足跡が記録されています。加藤はこの情報を得るため、車で全米を走り回りました。その距離は4万マイルにものぼったといいます。その結果は「○○州の○○に最初に入った日本人は○○だと思われる」などのように具体的に記さ…