戦争花嫁の戦後
1945年の敗戦後、占領軍として多くのアメリカの軍人、軍属が日本に駐留した。若い彼らと日本人女性とが恋愛関係に陥るのは、当然の成り行きだった。彼らと結婚しアメリカに渡った女性たちは「War Bride」、日本語にすると「戦争花嫁」と呼ばれた。
戦時中は「鬼畜米英」と唾棄していた国の男性と結婚するこうした日本人女性に対する世間の視線や、親の反応が一般的にどんなものだったかは、容易に想像がつく。それでも彼女たちは結婚し、海を渡り、その他多くの日本人女性が戦後の復興期から高度経済成長期に日本国内で送った人生とは、まったく異なる道を歩んできた。
もちろんその道は百人百様だが、「戦争」を挟んだ時代という共通項をもつ彼女たちならではの生き方が確かにある。約4万5000人といわれている彼女たちにスポットをあてて、その姿と言葉を写真と文章で紹介したのが、写真家、江成常夫氏である。1936年神奈川県相模原市に生まれた江成氏は、毎日新聞社をへてフリーの写真家となり、アメリカで戦争花嫁の取材をてがける。
その成果として、『花嫁のアメリカ』(朝日新聞社アサヒカメラ増刊号)を1980年に発表、その後、講談社から単行本(1981年)、文庫(1984年)として出版した。さらに当初の取材から20年後にふたたびかつて取材した人たちを追い、『花嫁のアメリカ 歳月の風景1978-1998』…